分厚い中間層とは
「分厚い中間層」とは、経済的に豊かで、人々の求める人生設計(結婚、子育てなど)を実現できる、多くの国民が占める中間層のことを指します。これは、経済が活発化し、社会課題の解決にもつながると考えられており、政府や経済政策の目標として掲げられることもあります。生活費以外の可処分所得があり、貯蓄や余暇が過不足なくある。
坂本貴志氏の見解
ここ10年で、低・中所得者が大幅に増加している。低所得者が増えているのだから、日本全体で貧困化が進んでいるのだという主張する人もいるかもしれない。しかし、年収分布を率に直せば、低所得者の比率はこの10年間ではむしろやや減少している。低所得者が増えているのだから、日本全体で貧困化が進んでいるのだという主張する人もいるかもしれない。また、中所得層の給与所得者数は大きく増えているし、高所得者層の絶対数も必ずしも減少しているわけではない。つまり、この十数年の動きを見ると、日本人の賃金はおそらく低所得方向にスライドしているというわけではない。そういう解釈よりも、労働力人口が増加する中で、低・中所得者層の絶対数が増えているというのが実態だと見られる。
なぜ低・中所得者層が増加しているのか
では、日本においてなぜ低・中所得者層がこんなにも増えているのか。それは、これまで働いてこなかった人たちの労働参加が近年急速に拡大しているからだろう。女性や高齢者の急速な労働参加は、日本の賃金構造に大きな影響を与えていると見られる。つまり相対的に低い賃金で働く女性や高年齢者が労働マーケットに参入し、その結果として平均の賃金が下がっている。少子高齢化の中で人手不足が深刻化している中、経済全体からしてみれば、高齢になっても働く人が増えることは望ましいことである。年金や医療など社会保障財政の観点からも、高齢者の労働参加はこれからますます欠かせなくなっていくだろう。しかし、この現象を社会に望ましいことだと考え、後は市場原理に任せていればよいのだという考えはやや危険である。繰り返しになるが、人手不足が深刻化する中で高年齢者の労働参加が拡大することは好ましいことである。しかし、労働供給が拡大した結果、特に低賃金労働者の賃金上昇を阻害していないのかどうかという点、またその結果として低労働生産性のサービスを温存させていることにつながっている可能性があるという点は、社会全体としてしっかり目配せをしないといけないだろう。日本社会は女性や高年齢者の就業を促進するだけでなく、自身が可能な範囲で働いていこうと考えている人たちの処遇を改善させていくような手だても合わせて考えないといけないということである。近年の賃金や就業率の動向を見ていると、社会全体としてこのような視点がやや欠けているように見え、気になっている。
まとめ
坂本氏の見解には、年収であり正社員なのか非正規なのかアルバイト・パートなのかが記載されていない。同じ年収でも正社員とアルバイトでは保険や税金が違う。男性は正社員が減り非正規が増えている。坂本氏は、国税庁のデータわかりやすく説明する為だと思います。しかし、坂本氏の見解は非常に参考になると考えている。つまり労働人口が及ぼす賃金(年収)推移を考察する事により中間層の実態を説明しています。
年収ベースでは、低・中所得者も増えている点。その原因が、女性や高齢者の労働参加によるもの。ただ人手不足に高齢者を雇用し、女性に労働の参加を促す事は一面を見れば良いことの様に思われるが、もう一面を見れば働かなくてはならない高齢者や働かなくてはならない既婚女性が存在している事も考えなければならない。既婚女性が働く事によって少子化につながっているかもしれません。また、幼児教育には、母親の存在が大きいという研究もあります。現在は、人手不足により賃金が上昇していますが今後、移民や外国人人材を雇用し労働人口を拡大すれば平均の賃金は停滞(最低時給のまま)する恐れがあります。そうなれば、分厚い中間層を復活させるには労働市場にこれ以上参加させない様にしないといけない。しかし日本は、人手不足に陥っているがここで安易に外国人人材を雇用せず省人化し、その分企業利益を高め今雇用している人に分配年収を上げる。ただ現実は、少なからず外国人人材の方に手伝ってもらわなければなりませんが、デモなどによって企業は外国人人材を雇いづらくなる。仮に上記の理論が正しい場合は、分厚い中間層を復活させる政策を掲げている政党は、移民や外国人人材や女性の社会参加などは口が裂けても言えない事になります。
最後に
なぜ中間層が減ると、その国の政治はより不安定になるのか?話が少し長くなります。
「どの国家であっても、国家には三つの部分がある。つまり、ひときわ富裕な人々、ひときわ貧しい人々、第三に両者の中間層の人々である。そこで、適度や中間が最善であると一般に認められているのだから、幸運の賜物も中程度に所有していることが最善であるということは明らかである」(『アリストテレス全集17巻:政治学』222頁)興味ある方はお読みください。
古代の賢人アリストテレスも中間層(ミドルクラス)が国家を安定させる為に多数必要(中間の国政)と考えています。所得の格差が拡大すると、富裕層は自らの財産を守ろうとするため、民衆の不満を抑圧しやすい少数者の支配、つまり寡頭制を好むようになります。しかし、貧困層の方も富裕層の財産を自分たちに再分配させる権限を求めるので大衆の支配、つまり民主制(衆愚)を好むようになります。この場合であれば、中間層が貧困層に転落し富裕層や国家に対して何かしらの行動に出ます。そうなると国内は、混乱し余計に格差が広がり元に戻るまで時間がかかります。貧困層に力がある場合は、デモや内乱など過激な行動ぐらいですが、怖いのは一部の富裕層に力が偏る場合です。なぜならそれは、最悪の場合戦争になるからです。国内で稼げなくなると今度は他国で稼ごうと考えます。良い意味では貿易ですが、やはり他国のいい物(安い人件費、資源など)が欲しくなりそうすると政治に圧力をかけ外交や武力で奪う可能性があります。極論ですが外交で話し合いがつかない場合は、武力行使なり次は戦争です。戦争には兵隊が必要ですが、貧困層と没落した中間層はお金の為に兵隊に志願し戦争の準備が整います。しかし多数の中間層がいれば、一部の富裕層の暴走(怪しい行動)に楔を打つことができます、それが政治の力です。なぜなら選挙は、一人一票だからです。富裕層が貧困層を取り込んでも勝てないぐらいの多数を中間層が握るのです。よって中間層の役割は、一部の富裕層を警戒し場合によっては楔(政治力)をうち、通常の富裕層に課税を納得してもらい、貧困層を支援し過激な行動を抑制し国内を安寧、安定させる役割があります。弊社の役割もこの点につきます。地域経済に多数の中間層を構築し地域の経済や治安などの安定させるための施策を計画し実行していきます。
また危惧している事は、税金と治安の問題です。賃金を上げると人件費も上がります。そうすると税金も上がり各企業の負担が上がります。また、技術革新等が起こりさらに地域住民を雇用しなると地域経済に打撃が起こります。次に、移民や外国人人材を雇用している企業への妨害(キャンセルカルチャー)が考えられます。日本人の給料が上がらないのは、外国人人材のせいにされてしまいます。そうなるともはや外交問題に発展しかねません。また治安が悪くなれば、地域経済や地元の商売にも影響していきます。そうならない為にも、初めから入れない(遅いですが)か人数を制限しなくてはなりません。上記(労働人口が及ぼす年収や賃金についての推移や外国人人材の登用)の考え方が間違っていることを願うばかりです。







